当ブログ管理人:ちくわです。
ちく夫です。発達障害(アスペルガー症候群/ADHD)の特性をもっています。
今日は、旦那さん(アキラ)さんはアスペルガーの第一作目をご紹介します。
この本は、アスペルガー症候群の旦那をもつ、妻の奮闘記が漫画になったエッセイ本です。
作者は野波ツナさん。
野波さんは、この漫画の作者であり、妻本人です。
結婚前から「この人はちょっと変わってる」と感じていたツナさんでしたが、優しくて、裏表がないアキラさんに惹かれて結婚。
ところが、一緒に暮らし始め、子どもを育てはじめるときには「あれ?やっぱりなんかヘンだな…」と思うことが増えていきます。
夫が何を考えているのか分からない。自分の気持ちを話しても分かってもらえない。
それは、言葉では言い表しにくい、正体不明の違和感でした。
この本は、シリーズ化されておりますが、初版はツナさんの違和感の正体が、アスペルガー症候群だと気づくまでの道のりについて。
また、この本は、私のように、実際にアスペルガー症候群の夫をもつパートナーにも、非常に学び深い1冊になっています。
なぜなら、アスペルガーのアキラさんが巻き起こす事件エピソードに加えて、国立成育医療センター医長である宮尾益知ドクターの専門的な見解が、コラムとして掲載されているからです。
〇夫と仲は良いけど心が通じ合っていない気がして不安
〇夫と歩み寄りたいのに自分ばかりカラ回りしている
〇夫と会話が噛み合わず、心が寂しい
あなたが抱いている、その違和感の正体。
原因は、アスペルガー症候群かもしれません。
また、アスペルガーの夫に対して、孤独感を感じたり、辛い思いをしている奥様方。
幸せな夫婦関係を再構築できるヒントが、この本にはたくさん書かれていますよ。
旦那さんはアスペルガー1【感想】本の要約
以下、本の要約を記載します。
旦那はいいひと
アキラさんは怒らない。
というより、感情があまり表に出ず、表現が地味で穏やかな人。
逆に作者のツナさんは、喜怒哀楽が激しく、顔や態度に全部出てしまうタイプ。
だからこそ、20代後半には恋愛や結婚はあきらめていたそう。
そこに現れたのが、当時、漫画雑誌の編集者をしていたアキラさんでした。
アキラさんは、どれだけツナさんがワガママを言っても、たとえ八つ当たりしたとしても、決して怒りません。
ツナさんは、自分のことを黙って受け入れてくれてる所に魅力を感じ、少し変わったアキラさんと結婚したいと思ったそうです。
ツナさんとアキラさんの関係の始まりは、漫画作家と編集者。
よって、ツナさんに対して、アキラさんの言葉づかいが丁寧なのは当然なのですが、関係が親しくなると、話し方も自然と変化するもの。
しかしアキラさんは、なぜかその他人行儀な話し方を変えることが出来ないのです。
そして、結婚して2年後に女の子、4年後に男の子を出産。
ふたりとも夜泣きが酷く「もうわたしには育てられない!」!とヒステリックになるツナさんに対し「寝れなくてつらいのはこの子です」と、ただ黙って全てを受け止めるアキラさん。
そんなアキラさんに、ツナさんは、尊敬の念を抱きつつ「本当に幸せな家族だなぁ」と思いふけるのです。
旦那の困った日常
相変わらず優しいアキラさん。
しかし、日常生活の中で、疑問に感じる部分が多くありました。
リウマチで歩くことが困難な姑(アキラさんの母)と、早く歩くことがしんどい妊婦のツナさんを置いて、さっさとひとりで歩いて行ってしまったこともあったアキラさん。
相手との距離感を考えず、ただの職場仲間に、100本のバラの花束を贈ったり、新しい炊飯器をプレゼントしてしまうアキラさん。
「平服でお越しください」という結婚パーティーの招待状文を、そのまま解釈し、ジーパンで行ったところ恥をかいてしまったアキラさん。
1つずつ冷静にツナさんが説明しますが、アキラさんはなぜか、黙り込んでしまいます。
アキラさんが何を感じ、何を思っているのか、ツナさんにはよく分かりません。
アキラさんは相変わらず、子どもに対しては、マメにお世話をする優しいパパでした。
しかし、長女が5歳になった時に事件が起こります。
「ゲームを買ってほしい!みんな持ってるもん」とねだる長女に、夫婦会議。
ツナさんは「欲しがるからって何でも与えるのは教育によくないから、せめて小学生まで買わない方針にしたい」とアキラさんに伝えました。
その数日後、家族でファミレスに行った時、長女がゲームに模したおもちゃをポケットに隠し持って帰ってきてしまったのです。
「売ってるものをお金も払わずに持ってきたら泥棒だよ!悪いことなんだよ!」と、しつけのために、長女に言って聞かせるツナさん。
その様子を、ただ考え込むように黙って見ているアキラさん。
すると次の日、なんとアキラさんは、長女が欲しがっていたゲームを買ってきてしまったのです。
その行動にツナさんは唖然。
それに対し、「だって、似たおもちゃを盗るくらい欲しがっているのだからかわいそうじゃないですか!」と主張するアキラさん。
(盗むくらい欲しかったら買ってやるの?)
(教育ってなに?)
(私が昨日娘に説いたことは何だったの?)
子どもが泣けば、あやす。
子どもが遊びたいと言えば、遊んであげる。
その延長で、子どもが欲しいと言えば、与える。
子どもの成長とともに、父親も臨機応変に変わっていく必要があるのが家族というもの。
しかし、アキラさんは、子どもが小さい頃と同じ対応しか出来ません。
そのうちに、買い与えたおもちゃは山のように積まれていくのでした。
アキラさんのアスペルガーが発覚
結婚3年目の時に、アキラさんはフリーの編集者になり、仕事も順調で、お給料もUP。
結婚8年目の時にマイホームを購入しました。
しかし、結婚12年目を機に、担当の雑誌が廃刊・連載も終了。
ついに翌年には、仕事も収入もなくなってしまいます。
家のローンもまだまだ残り、子どもの教育費もこれからかさむ。
ツナさんは、未来を見据えつつも、自分の漫画収入で足りない分は貯金で補い、どうにかやりくりしようと奮闘する毎日。
「早く新しい仕事を見つけてほしい!」とアキラさんを説得しますが、無職になって3年たっても、あきらさんは働こうとしません。
ついに知り合いの紹介で、やっと再就職するも、10か月後、会社を辞めてくる始末。
「辞めてどうするの!?次の仕事のアテはあるの!?」と聞くツナさんに、アキラさんは黙りっぱなし。
さらには借金が300万もあることが発覚!
ツナさんは、仕事を辞めてきたことよりも、黙りっぱなしで、話し合いにならないアキラさんに追い詰められます。
もともと何を考えているか分からない人だったが、今度という今度は、どんなに考えても、夫のことが理解できないツナさん。
借金や離婚問題よりも、ツナさんにとっては、夫を理解できないことこそが、絶望的で心をえぐられます。
アキラさんの無職・借金と、考えることが山積みで、眠れないツナさん。
糸口が見つからないまま考えあぐねていたある日「発達障害」のネットページにたどり着きます。
その中にあったのが「アスペルガー症候群」
最初は言葉のイメージだけで、子どもに関することだと思っていたツナさん。
しかし、記事を読み進めるうちに、そこにはアキラさんのことがそのまま書かれていたのです。
他のサイトを調べても、読めば読むほどアキラさんのことが書かれている。
ツナさんは思い切って、専門医である宮尾ドクターに、アキラさんの不可解なところを要約した資料を提出。
すると「これはほぼ間違いなくアスペルガー症候群です」と即答されてしまいます。
アキラさんの特徴は、大人のアスペルガーの典型で、その要約には、どれもこれもはっきりと特徴が出ていたのです。
今までツナさんは、夫は自分のワガママを黙って受け止めてくれていると思っていました。
しかし、アスペルガーが発覚したことで、実際ツナさんの言葉は、一切アキラさんには刺さっておらず、ただ、むなしく通り抜けていただけだと思い知らされるのです。
これから夫に対して、どのように接していけばいいのか悩むツナさんに対し、宮尾ドクターは一言。
「アスペルガーの家族の人に言うのはただ1つ。分かってもらおうとしても無駄。だって分からないのだから。ひとつひとつこの場合はこうしなさいと教えていくしかないのです」
その言葉がツナさんにとって重くのしかかります。
ツナさんは今まで「分かってもらおう」としてきたし「分かってくれない」アキラさんに対し苛立ってきました。
しかし、それは全て無駄で、アキラさんにとってもどうしようもないことだった、という事実を突きつけられます。
現在アキラさんは、ようやく交通整理のバイトを始め、少しずつ借金を返しているそうです。
そしてツナさんは、アキラさんのことを理解し、今まで連発してきた「なんで?」という言葉を封印します。
代わりに分かりやすい「指示」や「お願い」の形をとるように心がけるツナさん。
心が通じ合えなくても、アキラさんを理解することで、お互い歩み寄ることが出来るのではないか?と希望を見出します。
そして、そのスタートラインに立ったことに、かすかな光を感じはじめ、初版は終着を迎えています。
初版 旦那さんはアスペルガーを読み終えて
アキラさんと夫の共通点
【物事の優先順位が分からない】
アスペルガー症候群の人は、順序や優先順位を整理するのが苦手で、ただ思いつくままに行動しがちです。
お正月にアキラさんの実家に訪れた際、ツナさんは頭の中で、どう行動し、振る舞うのか、ある程度の段取りを立てていました。
しかし、自分の実家では、いつものマイペースぶりにさらなる拍車がかかるアキラさんが、全てを順不同にし、ぶち壊してしまうシーンがあります。
私の夫も、思いつくままに行動してしまう特徴があります。
例えば、スーパーからの帰宅後、1番の優先順位は、食品を冷蔵庫に入れることです。
アイスクリームや冷凍食品を購入した夏場はなおさらです。
しかし、夫はトイレに行った後、食品を冷蔵庫に入れることなく、テレビをつけたり、夢中のブログに取り掛かったり、掃除を始めたりしてしまうことがあります。
ブログを書かなきゃと思うと、1番優先してやらなきゃいけないことを忘れちゃうんだよね…。反省…。
【言葉をそのまま受け取ってしまう】
せっかく再就職をしたアキラさんでしたが、突発的に仕事を辞めてしまうシーンがありました。
注目すべき点は上司に「辞めた方がいいと思うなら、そうすればいい」と言われ、本当に辞めてしまったことです。
世間でよく言う、売り言葉に買い言葉的なやり取りなのですが、アスペルガーの人は、その言葉をそのまま受け取ってしまいます。
夫も、その言葉の裏にあるニュアンスを読み取ることが非常に苦手です。
喧嘩した後「もういい!」と言うと「あ、もう許してくれたんだ」と勘違いしてしまいます。
また、明らかに社交辞令の言葉をそのまま鵜呑みにしてしまうこともあります。
2016年頃「KY(空気読めない)」という言葉が大流行しました。
その場にそぐわない言動や行動をしてしまうこと、またそういう人のことを指すのですが、まさにアスペルガー症候群の人は、イメージ力のなさから、そういった行動してしまいがちです。
だからこそ、もしその原因がアスペルガーなのであれば、KYの人に決して悪気がないことを、私たちは認識しておかなければいけません。
俺もよく、空気読めない奴って言われたなぁ。。。
アキラさんと夫が違う点
1つのエピソードごとに、宮尾益知ドクターの解説コラムが付いているのですが、今回最も注目すべきはタイプ紹介。
実は、アスペルガー症候群にはいくつかタイプがあり、その中で、アキラさんは受動型ということです。
受動型は、自発的な社会的接近ができず、他者からの接近であれば、交流を許すタイプ。
よって、ツナさんが何をしたとしても、怒ったり・あきれることもなく、ただそれを受け止める。
ただ、ツナさんが投げかけてきた問いかけや相談に対しては、自発的に答えることはなく、黙り込むあきらさんの特徴がよく出ていると言えます。
ちなみに、受動型の他に
孤立型‥自分流の考えにこりかたまり、理想的な生き方を目指して生きていく、最も社会的接触をしないタイプ。
尊大型‥形式主義的で堅苦しい対人関係が目立つタイプ。
積極奇異型‥他人と付き合いたいという気持ちが強く、接近するものの、相手の気持ちを考えることが乏しく、子どもっぽい。
などがあります。
私の夫は、アキラさんの受動型とは違い、自らどんどん他人に絡んでいくが、その距離感がつかめず、対人関係が上手くいかない、積極奇異型です。
私は、この旦那さんはアスペルガーの初版本を読み、夫の型が積極奇異型だと気づくことが出来ました。
旦那さんはアスペルガーまとめ
いかがでしたか?
実際ちくわも、夫と同じ特徴をもつアキラさんに少し笑えたり、奮闘するツナさんの気持ちが痛いほど理解できました。
夫に対して、言葉では言い表せない違和感を感じていた方。
もしそれがアスペルガー症候群によるものであるならば、目からウロコの1冊になることでしょう。
また、アスペルガーの夫を持つ妻にとっては、ツナさんに共感することで「困っているのは私だけじゃないんだ」と不思議と気持ちが軽くなる1冊です。
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