こんにちは!当ブログ管理人、ちくわです
ちく夫です。発達障害(アスペルガー症候群/ADHD)の特性をもっています。
本日は、実際にアスペルガーの夫と結婚したちくわが、シリーズ第2作【旦那さんはアスペルガー ウチのパパってなんかヘン!?】の感想を書いていきます。
ちなみにこの本は、アスペルガー症候群の旦那様をもつ、妻の奮闘記が漫画になったエッセイ本です。
作者は野波ツナさん。
ツナさんは、この漫画の作者であり、この物語の妻本人です。
初版の第1作は、旦那のアキラさんが、アスペルガー症候群だと気づくまでの道のりについて。
今回の第2作は、旦那のアスペルガー特性を前提に【過去の出来事の振り返り】【発覚以降の生活】【子ども達からの視点】について描かれています。
またこの本は、シリーズ化されている点からも注目度の高さが伺えます。
さらに、アスペルガーの夫(アキラさん)が巻き起こす事件エピソードに加えて、国立成育医療センター医長である宮尾益知氏の専門的なコラムが付いているのも嬉しいポイント。
〇夫と意思疎通ができず違和感を感じている
〇アスペルガーの夫にストレスを感じている
〇アスペルガーの夫と子どもの関係に悩んでいる
あなたが夫に抱いている、その違和感の正体。
原因は、アスペルガー症候群かもしれません。
また、アスペルガーの夫に対して、大きなストレスを感じ、苦しんでいる方。
悩みを抱えているのは、あなただけではありません。
このエッセイを読み、妻のツナさんに共感できるだけで、「私だけでなないのだ」と気持ちが楽になります。
そして、幸せな夫婦関係を再構築できるヒントが、この本にはたくさん詰まっているのです。
旦那さんはアスペルガー2【感想】
以下本の要約を記載します。
アスペルガーのアキラさんの日常
40代半ばを過ぎて、アスペルガー症候群受動型の診断がおりたアキラさん。
真実を突きつけられても「なんだか名前がかっこいい!」とショックな様子は見受けられません。
それは、アキラさんが、全く生きづらさを感じていないから。
「巻き込まれる家族は大変なのに…」と、少しでもアキラさんに変わってほしいと願う妻のツナさん。
しかし、宮尾益知先生はこう言います。
「大人のアスペルガー症候群の人で【生きづらさ】と感じていないのであれば、本人が変わりたいとも思っていないのだから、私に出来ることは何もない」と。
つまり、本人自身に変わりたいという願望がないので、周りが工夫し、対応する以外、方法がないというのです。
台風は、激しい風や雨を巻き起こしますが、中心だけは、いつも穏やかで晴天です。
「そんな台風の中心にアキラさんはいて、まわりの暴風域にいるのが私たち家族なのだ」とツナさんは語っています。
アスペルガー本人に、生きづらさや困り感があるかどうかが、大きなポイントになるみたい!
アキラさんがアスペルガーと発覚してから、過去の出来事にも、思い当たる節が多く見つかります。
例えば、アキラさんには収集癖があり、絶対に不必要な物でも捨てることができません。
タバコのヤニで変色した着ない服、古雑誌、壊れた家電やゲーム機…etc。
いくらツナさんが「せめてゴミだけでも捨ててほしい」と訴えても、アキラさんはただ、傷ついた顔をするだけで、実行に移そうとはしません。
実はアスペルガーの人は「モノ=自分(の1部)」と捉える思考特性を持ち、それゆえ物をため込んでしまうことが発覚したのです。
アキラさんにそれを伝えると「その通り!そうなんですよ!」と我が意を得たという表情。
「脳の特性だから仕方ない…でも‥‥」と、ツナさんはぐっと我慢をするのです。
結婚当初からよく揉めたことがありました。
それは、アキラさんが、人のモノを勝手に使ってしまうことです。
アスペルガーのアキラさんには、自分と他人の境界が曖昧。
よって、アキラさんにとっては、家族のモノは自分のモノ。
ツナさんの妹のパソコンを勝手に使ったり、晩ごはん用に購入していた冷蔵庫のお肉を勝手に食べたり、ツナさんの電動自転車を許可なく使用してしまいます。
「人のモノを使う時には、家族であっても許可が必要だ」と説明するツナさん。
しかし、どうして自分の家なのに、自由に使えないモノがあるのかが、アキラさんには全く理解出来ないのです。
俺にはこの特性はないなぁ~!ちゃんとちくわのものを借りるときは確認するようにしてるよ!
アスペルガーの不都合な現実
アキラさんがアスペルガーだと分かり、ツナさんの気持ちは大きく変わりました。
今までは「どうしてこんなに言っても分かってくれないの?」「何を考えているのか分からない」とモヤモヤしていたものが、その正体が分かって、スッキリしたのです。
謎が解けたと同時に、対処の仕方も見えてきたツナさん。
「あいまいな言い方では通じない!」
「こっちの気持ちを汲んでもらおうと期待してはいけない!」
と自分に言い聞かせます。
怒る時は「あなたにされた○○が私にとっては不快だった。理由は○○です。だから謝ってほしいし、二度としないでほしい」と具体的に伝えるようにします。
すると、アキラさんは「ごめんなさい」と素直に聞き入れることが出来ました。
ある程度、アスペルガーについて理解も出来たし、対処法も分かってきたツナさん。
しかしそれと同時に、どうしても変えられないことがあるという現実が、ツナさんには重く感じられるのも事実なのです。
私もエネルギーのある時は、頭を使って具体的に指示が出来るんだけど、疲れている時や余裕がない時は、どうしても言葉を省いてしまって、上手くコミュニケーションがとれないこともある。ツナさんの気持ちがとても分かるよ。
未来をイメージできないアキラさんは、金銭感覚も独特です。
「収入を全て私が預かって、おこづかい制にしよう」と提案したツナさんを断固拒否。
ツナさんも仕事をしており、収入があったこともあり、結婚してからも、アキラさんの給料・おこづかい額・貯金額を知らずに過ごしていました。
そして、アキラさんがフリーの編集者になった年に、代わりに確定申告をしたツナさんは驚きます。
それは、アキラさんの収入が思っていたより多く、月に15万円以上おこづかいがあったこと。
しかし、アキラさんはその全てを使い込み、結果貯金は0。
「フリーは保障がないのだから貯金して!節約して!」と説得しますが、アキラさんには届きません。
その数年後には、何と300万円もの借金を抱えてしまうことになるのです。
うちも夫婦の財布が別だから、夫がどれくらい貯金してるか詳しくは知らないんだよね…。
その他、深夜に無断で、ネットで知り合った人を平気で家に入れるアキラさん。
電車でマナーがなっていない女性に、言葉で伝えず、手を出してしまうアキラさん。
想像力がないゆえ、不幸な事故を笑ってしまい、幼い娘を困惑させるアキラさん。
その都度「やってはいけないこと」を論理的に、具体的な言葉で、淡々と伝えるツナさん。
そこには、人間らしい「感情」をおさえる必要があり、あまりにも多い「やってはいけないこと」を口にするのが、辛くなってくるツナさんなのです。
子ども目線「パパはアスペルガー」
子ども達も成長し、長女は中学生・長男は小学生になります。
この章では、パパとしてのアキラさんへの違和感が書かれています。
長女は、本が大好き。
そんな長女に、パパのアキラさんはたくさんの本を貸してくれます。
長女はパパと、本の感想を言い合ったり、あれこれ盛り上がりたいと思いますが、アキラさんから出てくる感想は「面白かった」「つまらなかった」と会話が広がりません。
(パパと感動をもっと共有したかった…。)と残念がる長女。
それと同時に、パパに違和感を感じはじめる長女なのです。
小学2年生の時に、アキラさんと自転車で出かけた長女。
いつもなら曲がるはずの道を無視し、後ろを追いかけてくる長女を振り返りもせず、どんどん進んでいってしまいます。
「どこまで行くの?」「ここはどこなの?」と不安と疲労で泣きそうになる長女。
1時間してやっと到着したのは、新宿。
「ほら、新宿まで自転車で来れるんだよ、すごいでしょ!」とアキラさんはただドヤ顔をするだけでした。
アキラさんには、一緒にいる子どもが、どう思っているのかを想像出来ません。
また、ついてくれば分かることだからと、言葉にする必要性を感じていません。
だからこそ、子どもに芽生えた不信感にも気づかず、娘はパパへの違和感を抱きながら、成長をしていくのです。
アキラさんは、子ども達が赤ちゃんから幼児のころ、よくお世話をするいいパパでした。
夜泣きをすれば一晩中でも抱っこをし、オムツ替えはウンチでもOK、子ども2人を預けてツナさんが出かけても安心のイクメンぶり。
しかし、子ども達も、日々成長し、長女は思春期になってパパ離れをし始めます。
すると、あやせば笑う赤ちゃんじゃない、抱っこすれば喜ぶ幼児のままでもない子ども達に、アキラさんはだんだん対応できなくなっていきました。
そして、将来がイメージ出来ないからこそ、親としての未来を見据えた教育・指導が出来ないアキラさんに、ツナさんは危機感を抱くのです。
パパに対しての疑問や反感を持ち始めたタイミングで、ツナさんはアキラさんのアスペルガーのことを子ども達に話しました。
パパは自分以外の人の気持ちが分からないこと。
だから、人が嫌がっても気づけないこと。
そして、これはパパの脳が原因で、けっしてわざとではないこと。
また、パパにどういう風に伝えないといけないのかポイントを説明。
子ども達は、しっかり納得してくれます。
しかし、子どもにパパの扱い方を教えることが正しいことなのか?
自問自答しながらも、ツナさんはまた1歩前に踏み出すのです。
アスペルガーのアキラさんとの今、そしてこれから
ここからは前作の続き。
2年前に大事件が勃発。
それは、アキラさんの退職と借金発覚です。
借金癖は決してアスペルガーの特徴ではありません。
しかし、アキラさんがこうなってしまったのは「色々なことを同時に考えられない」「未来の見通しがつかない」という特徴が影響しているとツナさんは考察します。
そんな中、ツナさんが担当していた漫画の連載がSTOP。
(このままじゃ家のローンが払えない!家を手放そうか…?いや子ども達が可哀そうだ!けど、どうする…?)
答えが出ないツナさんは、アキラさんに相談します。
家を売るとなると、ツナさんと子ども達は、ツナさんの実家に住むことが決まっていました。
しかし、今回の借金の一件で、ツナさんの両親はアキラさんにひどく怒り、アキラさんの同居は許されない状況でした。
つまり、家を手放す=家族が離れ離れになるということ。
しかしアキラさんの答えは、全てどことなく他人事。
「どうしたらいいんでしょうね」「家を手放すのも仕方ないですね」と、アキラさんは流れに逆らおうとはしませんでした。
ツナさんには、家にも、家庭にも執着を見せないアキラさんを、これ以上引っ張る気力が残っていませんでした。
こうして、家を手放すことが決まり、同時に別居することが決まったのです。
ついに、家族が離れ離れ…。どうなるアキラさん一家!?
ツナさんは「こんなことなら家なんて買わなきゃよかった」と感傷的になっていました。
悔しさ、悲しさ、そして何より子ども達に申し訳なさを感じていたのです。
一方アキラさんは「あの時は家賃を払うよりローンの方が安かったので、仕方ないでしょう」と、やはり意見が他人事。
アキラさんにとって、この家は、何が何でも守る「家」ではなく、単なる「仮住まい」に過ぎなかったのかと、ますます辛い気持ちになります。
アキラさんの一人暮らしの家も決まり、いよいよ別居生活がスタート。
ここから、アキラさん一家が、どんな家族の「かたち」を築いていくのか?
ツナさんは、そんな先の未来を案じつつも、焦らず丁寧に考えながら進んでいきたいという想いを結びに、第2作は終着を迎えています。
旦那さんはアスペルガー2を読んで
アキラさんと夫の共通点
捨てられない
アキラさんの部屋は、本が山積み、服が散乱。
そのため、窓は開けることが出来ません。
さらに、一般的には不要と思われるゴミさえも捨てることが出来ません。
先ほど、アスペルガーの人は「モノ=自分(の一部)」と考えるから捨てられないことを紹介しました。
ちなみに、発達障害の中でも、ADHDの人は「いつか使うかも」と思って捨てられないという特徴があると言われています。
私の夫も、捨てることが極端に苦手です。
夫には、アスペルガーの他、ADHD気質もあるため、どちらの特性がそうさせるのかは定かではありません。
例えば、もう決して動かないルンバ(動かないどころか、ゴミを吐き出す。笑)
紙袋多数。
そして、真っ黒にさび付いたシルバーリングなども、いつまでも取ってあります。
「捨てたら?」と促しても、決して捨てません。
夫専用の部屋があれば、そこまで干渉しませんが、私たちの家は部屋数が少なく狭いため、そうも言ってられません。
よって「1年使わなかったら捨てるね」と期限を約束をしています。
ルンバの期限まであと少し。笑
早く捨てたいと願うちくわは、うずうずしております。笑
相手の気持ちを想像できない
ネコが大好きな10歳の優しい長男。
アキラさん家でも、飼い猫を買っており、長男はその猫を大切に育てています。
そんな長男に対し、アキラさんは「仕事中に野良猫が車でひかれ、血を吐きながらのたうち回り、身体を痙攣させながら死んだ」話を、大興奮で話しました。
それに対し、長男は硬直。
ツナさんには、長男が相当なショックを受けていることがはっきり見て取れました。
泣きじゃくる長男を、ツナさんはぎゅっと抱きしめます。
ネコを飼っているからこそ、その話を聞いた長男がどんな気持ちになるか、アキラさんは想像できないのです。
ちなみに、私の夫も、人の気持ちを想像したり、相手の立場にたって考えることが苦手です。
自分も出来ないことがたくさんあるのにも関わらず、出来ない人の気持ちが分からないことがあります。
例えば、夫はフリーのテニスコーチですが、「指導」がとても下手です。
それは、自分に出来るサーブが、なぜ初心者さんが出来ないのかをイメージする力が弱いためです。
しかし、夫は一般的な「手取り足取り丁寧に指導」をするテニスコーチではありません。
明るい子どもっぽいキャラクター、高齢者にも妥協しない高速球出しなど、他のコーチとは一味違うところが人気で、自称カリスマテニスコーチとして生計を立てているのが面白いところです。
丁寧な指導なんて大嫌い!テニスへの上達の道は、とにかく打って!打って!打ちまくることだ!
私も生徒の頃は、そのしごきによくやられたなぁ…。
ちなみに私たち夫婦は、生徒とコーチという関係でした♪
アスペルガーの表れ方
前回の初版本には、アスペルガーにはいくつかの型があることが記載されておりました。
ちなみに、アキラさんは受動型、夫は積極奇異型です。
しかし、型が同じであっても、その特徴の表れ方は、性格や育ってきた環境によって異なるものだと、宮尾氏は語っておられます。
アキラさんは、長男として大事に育てられ、親から否定も叱られることもなく、失敗しても誰かがフォローしてくれる環境で育ちました。
ちなみに、発達障害ゆえに、出来ないこと、分からないことを叱られ過ぎたり、否定され続けて育つと、鬱や自己否定などの二次障害があらわれることがあります。
大人の発達障害の診断や対処法が難しいのは、この二次障害を併発するからと言われていますが、アキラさんには全くそれがありません。
だからこそ「生きづらさ」「困り感」がなかったのだと推測されます。
対して夫は、アスペルガーゆえの特性で、学生時代からたくさんの失敗をしてきました。
つまり「生きづらさ」を多少感じながら生きてきた訳です。
極めつけは、離婚の決定打が、アスペルガーが原因だったということ。
(夫はバツイチです)
アキラさんと夫の、最も違う点は、型もそうですが「どうにかこの厄介なアスペルガーの特徴を改善したい」と思っている所だと、この本を読んで実感することが出来ました。
アスペルガーの遺伝
この本には、遺伝に関する記載はありませんでした。
また、パパのアキラさんに対しての違和感を感じ、アスペルガーのことを素直に納得するこども達ふたりには、遺伝傾向はないように感じました。
宮尾氏のコラムによると、アスペルガーを発症する割合は、男性が圧倒的に多いとのこと。
またグレーゾーンの人も含めると、130人に1人の割合でアスペルガーは存在しています。
周りの人が、少しでも知識をつけることで、その人のために出来るサポートが多くあると、この本を読んで改めて実感しました。
旦那さんはアスペルガー2【感想】まとめ
いかがでしたか?
2作目は、アキラさんがアスペルガーと分かってからの物語でした。
さまざまな事件を巻き起こしてしまうアキラさんにヒヤヒヤしながら、夫との共通点を発見することも出来、初版に続きとても学びになる2作目でした。
夫に違和感を感じている方。
もしその正体がアスペルガーだったとしたら、驚きの連続になるはずです。
また、アスペルガーの夫に困っていたり、子ども達との関係に悩んでいる方にとっても、ヒントが多く書かれている1冊です。
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