こんにちは!当ブログ管理人、ちくわです。
どうも!ちく夫です。発達障害(アスペルガー症候群/ADHD)の特性をもっています。よろしくな!
本日は、実際にアスペルガーの特性をもった夫と結婚した私が、シリーズ第3作【旦那(アキラ)さんはアスペルガー しあわせのさがし方】の感想を書いていきます。
ちなみにこの本は、アスペルガー症候群の旦那をもつ、妻の奮闘記が漫画になったエッセイ本です。
作者は野波ツナさん。
ツナさんは、この漫画の作者であり、この物語の妻本人です。
初版の第1作は、旦那のアキラさんが、アスペルガー症候群だと気づくまでの道のりについて。
第2作【ウチのパパってなんかヘン!?】は、旦那のアキラさんがアスペルガーであることを前提に、過去の出来事の振り返り、発覚以降の生活や子ども達からの視点について書かれています。
そして今回紹介する第3作は、アキラさんとの別居を機に、改めて考え、理解したことや別居後の近況報告、家族の幸せのためにたどり着いた『ある答え』についてが書かれています。
またこの本は、シリーズ化されていることから、その注目度の高さもうかがえますね!
さらに、アスペルガーのアキラさんが巻き起こす事件エピソードに加えて、国立成育医療センター医長である宮尾益知氏の専門的なコラムが付いているのも嬉しいポイントです。
〇アスペルガーの夫への対応策に悩んでいる
〇アスペルガーの夫と子どもの関係が心配
〇シリーズ第3作のネタバレが知りたい
あなたが夫に抱いている、その違和感の正体。
原因は、アスペルガー症候群かもしれません。
また、アスペルガーの夫に対して、大きなストレスを感じ、苦しんでいる方。
悩みを抱えているのは、あなただけではありません。
妻であり、作者のツナさんが、どんな幸せをさがし、どんな答えを導き出すのか。
注目の第3作です。
旦那さんはアスペルガー3【感想】しあわせのさがし方
以下概要をお伝えします。
アスペルガーのアキラさん
2010年にアスペルガー受動型と判明した夫のアキラさん。
現在は家族と別居し、一人暮らしをしながら、借金返済を目指し警備のバイトをしています。
アキラさんには、アスペルガーへの「困り感」や「生きづらさ」がありません。
世間とのズレや、周囲との違いを感じつつも、その部分も含めて自分を肯定しています。
よって、妻のツナさんは「アキラさんが変わる気がないのであれば、自分が変わらないといけない」と改めて認識します。
では、ツナさん自身はどう変わるべきなのでしょうか?
ツナさんが、独自に導き出した、アキラさんへの対応法が次の章で紹介されています。
アキラさんとの暮らし方
ツナさんは、アキラさんへの対応を学ぶため、セミナー等にも足を運びます。
そこで最も学び得たこと。
それは、アスペルガーの人は、いつも通りの「COOL」な場面には強く、いつもと違う「HOT」な場面に弱いということ。
例えば妻のツナさんが、きつい口調で、大きな声を出し、早口で感情的になっている時。
旦那のアキラさんは、内心パニックを起こしており、到底理解どころではないのです。
そこで過去、アキラさんが困ったことをした時に、ツナさん自身がとってしまった実際の対応を反省しながら、妻としての正しい対応の仕方を、監修の宮尾先生が解説してくれています。
突然の行動
ご飯が用意されたテーブルの上にある電球を、唐突に外し始めた。
(NG)「何やってるの!やめて!ゴミが落ちるでしょ!」と怒って叫んだ。
(OK) 夫が気にしそうなことをリストアップしておき、普段からキレイにしてもらう。
勝手に行っちゃう
一緒に出かけた際に、行き先を言おうともせず、歩調を合わせてくれない。
(NG)「勝手に行かないでよ!会話しながらのんびり歩きたい」と叱りながら難しい要求をした。
(OK)出かけるときは手をつなぐという決まりを作る。事前にスケジュールを決める。別行動にして、集合時間を決める。
モノをため込む
アキラさんの部屋は、コレクション・過去の思い出品・ゴミが混在している。
(NG)「リビングにまで浸食させないで!いらない物は捨てて!」と怒る。
(OK)リビングなど共用スペースにはものは置かないというルールを作る代わりに、自分の部屋の中だけは自由にさせる。
帰るコールをしない
食事のタイミングや段取りのため、帰る前に連絡がほしいというツナさんの要求を一切聞き入れない。
(NG)「連絡してって言ったでしょ!メールくらいしてよ」と怒る。
(OK)「今日は揚げたてのとんかつを食べよう」など、あなたのためという方向に話をもっていく。
サプライズ好き
家族のためにと、極度に高額なお土産を頻繁に買ってくる。
(NG)(こんな高いもの…もったいない、そんなお金があれば貯金してほしい)と思いながらも、本音を言えないままでいる。
(OK)その場はお礼を言いつつ、後日「子どもの養育費」「貯金」「節約」について冷静に話す。また、普段から本当に欲しいものを、さりげなく口にしておくようにする。
話し合いで黙り込む
(NG)「黙ってないで何か言ってよ!これについてどう思うのかを聞いているの」とイライラをぶつける。
(OK)メモや図解を示しながら、話を進めるようにする。また、ノートに言いたいことや聞きたいことを書き、後日返事を書いてもらう。
アキラさんと暮らす10のコツ
①疑問形で怒らない
②抽象的な質問はせず、具体的にきく
③指示はひとつずつ、具体的に
④態度や顔色だけで気持ちを表さない
⑤生活上のルールをつくる
⑥ルールは家族も守る
⑦「ここだけの話」はしない
⑧鉄は熱いうちに打つ
⑨重要な相談ができる相手を見つけておく
⑩ある程度は目をつぶる
アキラさんのアスペルガーを考える
アスペルガーの特徴に多く当てはまるアキラさん。
確かに、アスペルガーの特徴ゆえに、アキラさんの「できないこと」で悩まされてきたツナさんでしたが、ふとあることに気づきます。
実はアキラさんにも、良いところがたくさんあり、それがアスペルガーの特徴と重なることも多いということです。
別居を経て、生活が落ち着いたからこそ、少し心に余裕が出てきたツナさん。
「ものごとには何でも、プラスとマイナスの面がある」と考えを改めます。
例えば、アスペルガーには「思ったことをストレートに言う」という特徴があります。
一見、その特徴ゆえに、交渉ごとが苦手で、失礼が過ぎ、周囲を困惑させるというマイナス面だけが目立ちます。
しかし、見方を変えると、言葉に信憑性があり、正直者で、お世辞や皮肉を言わないと、プラスに捉えることも出来ます。
「未来の見通しがつけられない」という特徴もそうです。
衝動的で、行き当たりばったりな行動が目立ち、備えが出来ないというマイナス面。
しかし、楽観的で、冒険心があり、リスクを恐れないというプラスの見方も出来る。
もちろんアスペルガーの特徴が、全てプラスに働いたら問題ないのですが、それは絶対にありえないこと。
しかし逆に、全部マイナスに働くなんてこともまたありえない。
「特徴ってそういうことなんだ!」と、妻のツナさんが、夫のアスペルガーを冷静かつ、客観的に捉えられるようになってきたことが伺えるのです。
ツナさんが見つめる家族のかたち
アキラさんの借金発覚と仕事の辞職により、家を手放すことが決定。
子ども達ふたりとツナさんは、ツナさんの実家で暮らすことになったのですが、事の原因を作ったアキラさんは受け入れられず、同時に別居が決定。
アキラさんは初めての一人暮らしをスタートさせるのです。
警備のアルバイトを始めたアキラさん。
昔はいくらツナさんが起こしても、起きなかったアキラさん。
しかし「今では朝6時には自然と目が覚めるようになった」とツナさんに自慢げに伝えます。
(必要に迫られて、頼る人がいなくなると、自分で出来るようになるものだ)と、アキラさんを少し見直すツナさん。
その後、家族との関係にも変化が現れます。
ツナさんとアキラさんは、別居生活を続けつつも、子どもの行事には一緒に出たり、アキラさんの実家に年に2回ほど行くという関係。
アキラさんと長女は、たまに一緒にライブに行ったりする仲。
アキラさんと長男は、とっても仲良しで、毎週末アキラさん宅に泊まりに行くほど仲良し。
そんな息子から、ツナさんはアキラさんの生活ぶりを教えてもらうスタイル。
別居して1年がたったころ「最近お母さん怒らなくなったね」と、長男に言われるツナさん。
前はよく、アキラさんのことで怒っているツナさんを見るのが、長男にとっては辛かったそう。
ツナさんは長男の一言で、別居を選択したこと、そして今の生活をだんだん肯定できるようになっていくのです。
ツナさんが出した結論
ツナさんは、今までのアキラさんとの結婚生活を思い返します。
夫婦とは「一緒に住んで」「協力しあって子どもを育てて」「何でも話し合ってお互いの理解を深めていく」もの。
それが、普通の夫婦であり、普通の家族。
ツナさんは、そんな「普通の呪縛」に囚われていたのだと気づきます。
しかし、アキラさんはそんな「普通」を目指してはいなかった。
そんな、アキラさんに対して「普通」を、ただただ押し付けてしまっていたのだと反省します。
今、アキラさんは初めての一人暮らしで、いろんなことに気づき、苦労しながらもたくさんのことを身に着けている。
ツナさんは、別居したことによって、アキラさんを叱ることがなくなり、気持ちが落ち着き、子ども達と向き合う余裕が出来た。
十数年後、この「普通じゃない」別居スタイルを、どう思うのかは分からない。
だけど「今の私たちにとって、これ以上の形はない」と未来を向く、ツナさん。
ラストの文章で、ツナさんはこの様に語っています。
「もし人生をやり直すとしたら、もう一度アキラさんを好きになって結婚したいと思うのです」と。
旦那さんはアスペルガー3【感想】しあわせのさがし方を読んで
夫への対応策
もともと、夫がアスペルガー症候群だと知らなかった妻のツナさん。
そんなツナさんが過去、夫のアキラさんが困ったことをした時に、知らずにとってしまった対応を反省し、改めて対応策が書かれているのが印象的でした。
また、ツナさんがアキラさんと暮らす上で、10のコツを導いていることがとても学びになりました。
アスペルガー症候群の特徴の表れ方は、決まった形があるわけではなく、持っている素質・家族・社会・トラウマなどによって異なります。
100人いれば100通りです。
ツナさんは、アスペルガー症候群への対応策を導き出したのではなく、目の前にいる「アスペルガー症候群のアキラさん」の対応策を考え出したことが、最も意味を成すことだと思いました。
私は、アスペルガーの夫と暮らしていますが、アキラさんとそっくりなポイントもあれば、全く当てはまらないこともあります。
これから、夫と良好な関係を築くためには、「アスペルガー症候群の夫」のオリジナルの対応策を多く導き出すことが重要だということを深く理解できました。
夫がアスペルガーであることは付き合い始めから知っていたので、対応策はだいぶ多くなってきたと自負しています。しかし、子どもが生まれ、3人家族になったことで、また違う角度でのコツが必要になってくると思うので、ここからが本当の勝負だと思っています!
特徴は表裏一体
「アスペルガー症候群の特徴はマイナスにもプラスにも捉えられる」と表現したツナさん。
別居をし、お互いに距離をとったことで、アスペルガーのアキラさんを客観的捉えていることを、この第3巻で感じることが出来ました。
今回はアスペルガーの特徴を取り上げていますが、それは一般的な特徴でも言えることではないかと思いました。
1番思い出されるのが、就職活動時の自己分析。
自分の長所と短所は何だろうと、考えたことがある方も多いのではないでしょうか?
「優しくて穏やか」という長所は、「成長意識がなく勝負をしない」という短所とも言えます。
「視野が狭い」という短所は、「1つのことに没頭出来る」という長所とも言えます。
よって、マイナス面(短所)への対応策を考えるのも大切ですが、プラス面(長所)をどれだけ多く捉え、リスペクトし、その素晴らしさを実感出来るかはもっと大切!
夫の長所を活かすことが、夫婦の良好な関係を築き続けていくための秘訣であり、妻に必要な力量なのではないかと思いました。
もちろんその考え方は、夫に対してだけでなく、子どもにも是非応用したいところです。
娘には、とにかく好きなことを見つけてあげたい!色んなことに挑戦させてあげたい!そのために、俺もまだまだ元気に稼ぎ続けなきゃって思うんですよね!
普通なんてない
普段生活していると、どうしても「普通」を求めがちです。
「普通はこうだから」「夫婦は普通こういうものだから」
しかし、冷静に考えれば普通なんて、メディアや誰かが勝手に作り上げた、単なるまやかしに過ぎません。
それは、夫婦の関係や、家族関係も例外ではないことを、ツナさんは強く教えてくれています。
アスペルガーの夫をもち、別居スタイルをとっているアキラさん家族は、一般的に言うと、普通ではないでしょう。
しかし、そのスタイルは、アキラさんとツナさんが確立した、家族にとって最も幸せなかたちだからこそ、「普通」を追求する必要なんて一切ないのです。
私たち夫婦は、よく「1番の友達でいよう」という話をします。
そこには、お互い良い意味で、夫婦として依存する気がないことを意味しています。
夫婦としての依存とは「結婚したんだから、幸せにしてもらいたい」という甘えです。
自分自身が、この人と一緒にいたいという気持ちが強いから、ただ傍にいる。
それだけのことなのです。
もちろんそこに、愛があるから夫婦なのですが、これから先も「普通」の「夫婦らしさ」を求めるのではなく、自分達らしい夫婦のカタチを模索していきたいと強く感じました。
旦那さんはアスペルガー3【感想】まとめ
いかがでしたか?
第3作目は、妻のツナさんが、アキラさんとの夫婦として・家族としてのしあわせを探す物語でした。
やはり、アスペルガーの夫と上手くやっていくためには、まずは一早く、その事実に気づくことが大前提であることを、この本は教えてくれています。
夫に違和感を感じている方。
もしその正体がアスペルガーだとするならば、いち早く気づいてほしいと願っています。
そのきっかけが、このブログ記事であれば、とても嬉しく思います。
自分達の家族にあった幸せのかたちを見つけ出したアキラさんファミリー。
今後もこの家族から目が離せなさそうです。
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