こんにちは!当ブログ管理人。ちくわです!
どうも!ちく夫です。発達障害(アスペルガー症候群/ADHD)の特性をもっています。よろしくな!
今回は【旦那さんはアスペルガー 4年目の自立!?】についての感想をブログに書いていきます。
ちなみにこの本は、アスペルガー症候群の旦那をもつ、妻の奮闘記が漫画になったエッセイ本です。
作者は野波ツナさん。
ツナさんは、この漫画の作者であり、この物語の妻本人です。
第1作【初版】は、旦那のアキラさんが、アスペルガー症候群だと気づくまでの道のりについて。
第2作【ウチのパパってなんかヘン!?】は、旦那のアキラさんがアスペルガーであることを前提に、過去の出来事の振り返り、発覚以降の生活や子ども達からの視点について書かれています。
第3作【しあわせのさがし方】は、旦那のアキラさんとの別居を機に、妻のツナさんが改めて考え、理解したこと。そして、別居後の近況報告と家族の幸せのためにたどり着いた『ある答え』についての物語。
そして、今回の第4作は別居4年目になる家族の変化と妻のツナさんが体験した『カサンドラ症候群』についてのエピソードが語られています。
またこの本は、シリーズ化されている点から、その注目度の高さが伺えます。
さらに、国立成育医療センター医長である宮尾益知氏の専門的なコラムが付いているのも嬉しいポイント。
〇夫に違和感を感じている
〇最近その違和感から体調が優れない
〇カサンドラ症候群について知りたい
〇シリーズ第4作のネタバレが気になる
あなたが夫に抱いている、その違和感の正体。
原因は、アスペルガー症候群かもしれません。
そして、原因不明の体調不良、心的障害に悩まされている奥様方。
もしかすると、あなたはすでにカサンドラ症候群におちいっているかもしれません。
別居4年目を迎えたアキラさん一家の変化とは!?
そして、ツナさんに襲い掛かったカサンドラ症候群とは何なのか!?
今回も大注目の第4作です。
旦那さんはアスペルガー4【感想】4年目の自立!?概要
以下本の概要をお伝えします。
一人暮らし4年目のアキラさん
アキラさんの部屋は、あいかわらず物でいっぱい。
アスペルガー症候群の、物が捨てられないという特性が出ています。
しかし、相変わらずの側面もあれば、一人暮らしによって身に着いたことも。
以前のアキラさんは、ツナさんが朝いくら起こしても起きられませんでしたが、一人暮らしを始めたことで、自力で起きられるようになりました。
アキラさんは今、警備会社の派遣として働いており、すでに4年継続中。
お給料は、週1の金曜日に振り込まれるシステム。
以前は、未来のお金をイメージできず、借金をしてしまったアキラさんですが、債務整理中の今は借金も出来ず、カードも使えない。
そのため、買い物もよく考えるようになりました。
一人暮らしを経験したことで、使えるお金が限られていることを理解しはじめ、ちょっぴり成長をみせるアキラさんなのです。
家族の中のアキラさん
離れて暮らす子ども達も、思春期に突入。
まずは長男(中学生)とアキラさんの関係。
平日は母であるツナさんとの暮らしています。
「宿題はやったの?」「学校の手紙出しといて!」「食べ終わったら食器片づけてよ!」と、口うるさい母との日常生活。
一方週末は父であるアキラさんとの暮らし。
自由気ままにネットゲームをやり、深夜にラーメンを食べて、昼過ぎに起きるという自由気ままな父との特別生活。
長男にとっては、アキラさんとの時間が、日常をリセットさせる大切な場所になっているようです。
次に長女(高校生)のお話し。
父であるアキラさんとの関りは思春期の女の子ということもあり、ほとんどありません。
そんな娘が出した、高校卒業後の進路は、公務員になって働くことでした。
大学に進学するとばかり思っていたツナさんは驚きます。
しかし、本音は公務員になりたい訳ではなく「うちに大学に進学するお金がない」という、家計を心配しての選択であることを打ち明けます。
ぽろぽろ泣きだす娘に、ツナさんは「気づかなくてごめんね」と、母としてもっとコミュニケーションをとるべきだったと反省をします。
遅めの受験参戦になってしまいましたが、長女は無事大学に合格。
楽しそうに毎日の学校生活の話をしてくれる娘に、ツナさんは安堵するのです。
一方、アキラさんの親としての自覚には、やはり問題点が。
別居前に、子どもの生活費を一定額負担してもらうように取り決めていたにも関わらず、そのほとんどが滞っている状態。
ツナさんとしても「まだ借金があるし、生活もギリギリみたいだし」と目をつぶっていました。
見かねたアキラさんの妹が「もう1つバイトして、ツナちゃんに少しでもお金を渡しなよ!子ども達にお金がかかるのよ!」と、アキラさんに注意します。
するとアキラさんは「無理!そんなことしたら、自分の時間がなくなる!」と答えます。
アキラさんから返ってきた答えに、ツナさんと妹は驚愕。
(自分の時間!?せめて理由が身体がもたないとかじゃないのか!?)
その父親らしからぬ返答に、宮尾先生に相談を持ち掛けたツナさん。
宮尾先生は「アスペルガーの人は自分が納得しないと絶対にやらないものだ」とアドバイスします。
命令されただけではダメで、自分の中にきちんとした動機付けがあれば、それを遂行することが出来るのだそう。
例えば「あなたのおかげで子ども達は助かっている」「いつもありがとう」「すごいね、さすが」という感謝の言葉を常に使うこと。
そうすると嬉しくなって、それが動機付けになる!
それを聞いたツナさんは、新婚の頃は自然にやれていたことだったなぁ…と反省とともに、アキラさんに親の自覚をどう持たせるのかが課題だと、想いを馳せるのです。
奥さんはカサンドラ?
2008年の春、ツナさんは突然漫画が描けなくなりました。
描くネタはもう頭の中にあるにも関わらず、白い紙を見つけたまま、手がピクリとも動かない。
そのままの姿勢で、気づいたら夕方になっていました。
アキラさんが無職になってから、悩みやイライラはありましたが、今回はそういう感情的なものではありませんでした。
魂が抜けたような「からっぽ」という感じだったとツナさんは言います。
疲れ切って休んでも、不安な感覚が押し寄せてきて眠れない。
やっと眠りについても、決まって悪夢にうなされ、2時間も寝ていられない。
突然わけもなく泣けてきたり、突然キレてしまったり、仲良しの友達とも旅行に行く気になれない。
ただただ、消えたいと思う毎日。
その時のツナさんには、自分の状態をおかしいと思う余裕すら残されていなかったのです。
これは、カサンドラになっていく過程をとても分かりやすく描いています。
ちなみに、長男を出産後の産院での出来事。
ツナさんは「予定通り24日に退院だから、お昼に迎えに来てね」とアキラさんに言います。
しかし、アキラさんは「その日は仕事だから無理です」と断ります。
それに対してツナさんは「でも、出産してから1週間後に退院って分かってたよね?」と疑問を投げかけます。
「とにかく、無理なものは無理です」と、頑なアキラさん。
その言い方があまりにも淡々としていて、自分とは関係がないと言わんばかりの冷たい態度に、ツナさんは動揺します。
ツナさんは、来られない事実が辛かったのではありません。
ただ「来れなくてごめん」の一言が欲しかったのです。
せめて「お母さんに代わりに迎えに来てもらおう」「退院の日をずらそう」など、どうするのがいいか一緒に考えてほしかったとも振り返ります。
今のツナさんであれば、アスペルガーのアキラさんには、退院日を予想することが出来ず、急には予定を変更できなかったことが分かります。
しかし当時は、ただただ夫の冷酷な態度が不可解でした。
他の人にそのことを話しても「旦那さんが来れないから辛いなんて、ラブラブね」「言わないだけで旦那さんだって申し訳ないと思っていたわよ、分かってあげなきゃ」と茶化されたり、反論されてしまう。
その違和感に共感してくれる人が誰もいない。
つまり外から見ると、基本的にアキラさんは良い夫なので、夫の文句を言うツナさんは「ただワガママ妻」という構図になってしまう。
その度に、自分を責め、自分が悪いと思い、気づかないうちに負のスパイラルに陥る。
「私はダメだ」「私がワガママなんだ」
違和感を誰にも分かってもらえず、自分だけで背負い、封じ込めてしまう。
それが、ツナさんのカサンドラ症候群の始まりだったようでした。
2010年にアキラさんのアスペルガーが発覚し、その数年後、自身の抑うつ状態にカサンドラという名前がついていたことが分かりました。
ツナさんの心身の不調は、一時期よりはだいぶ良くなりましたが、不安や憂鬱が完全に消えたわけではありません。
そんなある日、ツナさんは、本当の自立を目指して、カサンドラの自助グループに参加をします。
そこは、同じアスペルガーの夫を持つ妻達が集まり、雑談をする会でした。
しかし、初対面同士なのに、くわしい説明をしなくても、話が通じ、共感しあえることこそが、カサンドラのツナさんにとっては、大きな安らぎにつながったのです。
今まで別居という選択に対しても「旦那さんが気の毒」「子どもが可哀そう」など、否定的なことばかり言われてきたツナさん。
しかし、カサンドラの自助グループで、別居の選択を肯定的に受け取ってもらえたことで、ツナさんは、本当の意味でカサンドラから抜け出すことが出来るようになるのです。
第4作のラストは、ツナさんからアキラさんへの言葉で結ばれています。
「アキラさん、あなたはこの先変わることはないでしょう。私はもう、それを待ったり、押し付けたりしません。でもあなたが結婚出来て良かったと言ってくれたことは、思いがけなくてとても嬉しかった。おかげで私はやっと自分を許せるようになれました。」
今までツナさんは「私がアキラさんのアスペルガーに気づいていれば」「私が家を買うことを言い出さなければ売ることもなかった」「私が家族を振り回した」とずっと自分を責めてきました。
つまり、現状は全部自分の責任という考えに支配されていたのです。
そんな考えを解き放ち、自分自身を許すこと。
それこそが、カサンドラから抜け出す第一歩であり、ツナさんにとっての本当の自立であったと語り、第4作は結びとなっています。
旦那さんはアスペルガー【感想】4年目の自立!?を読んで
アスペルガー症候群と自閉症スペクトラム
今回第4作のコラムに「自閉症スペクトラム」の記載がされています。
実は、2013年にアメリカ精神医学学会の診断基準が改訂され、アスペルガー症候群を含む「広汎性発達障害」が「自閉症スペクトラム障害」という診断名に統合されたのです。
ただし現在「知的障害のない自閉症」を指す言葉が存在しないため「アスペルガー症候群」という言葉自体は今後も使われていくことになると記載されています。
最初私も、自閉症スペクトラムとアスペルガー症候群の違いに混乱することもありました。
ただ、これから先も「アスペルガー」という言葉は引き続き、広くメディアなどでも使われるかと思います。
よって、当ブログでも引き続き「アスペルガー」表記を使用して、皆様に情報をお届けしていきたいと思います。
一人暮らしでのアキラさんの「ワク」
一人暮らしも4年目になったアキラさん。
朝の起床やお金の使い方など、少しずつですが改善が見られ、成長する様子が描かれているのが印象的でした。
アスペルガーの人に対しては、ある程度のワクを作ってあげることが大切だと、宮尾先生は語っておられます。
例えば「大人なんだから自分で判断して」とワクがない状態だと、とんでもない問題を引き起こしてしまう。
逆に「報告して、連絡して、相談して、勝手にしないで」など、ガチガチのワクで固めてしまうと、窮屈になって何もできなくなる。
つまり、ツナさんと離れて暮らしながら、限られた時間とお金で生活するスタイルが、アキラさんの「ワク」となり、結果アスペルガーのアキラさんの成長につながったのだと感じました。
私は、夫にもその「ワク」を応用しています。
例えば、お金の管理について。
夫はバツイチなのですが、前妻さんとの生活の時は、全てのお金を前妻さんに預けるルールで、その窮屈さから言い合いになることも多かったそう。
よって私とのお金の管理は、決まった生活費(固定費)を月に一度預かり、残りは自由にやってもらうという「ワク」作っています。
ただし、きちんと貯金出来ているのか、少々不明確な部分も多いので、娘が産まれ、養う家族も増えた今、もう少し枠を狭めた方がいいのかな?と色々検討中です。
あとは、夫の趣味について。
夫は好奇心がとても強く、色んな趣味を手広く試すことが大好きです。
ピアノにボイトレにボーリング…etc。
お金も時間もかかりますが、その代わり夫はお酒もたばこもパチンコもしません。
よって夫が好きな趣味に関しては、自由にやってもOK。絶対に口出ししないというのが、ちくわが作った、大きな「ワク」になっていると実感しています。
カサンドラ症候群
旦那(アキラ)さんはアスペルガーシリーズでは、今回初めて「カサンドラ症候群」の記載がありました。
私が、夫のアスペルガーの勉強を始めたのは、自身がこのカサンドラに陥らないためでもありました。
ちなみに、夫がアスペルガーなら、妻は必ずカサンドラになるのかというと、そうではないケースも多くあります。
例えば、夫にアスペルガーの自認があり、妻に正しい知識があれば、カサンドラにはならないことも研究で発表されています。
ツナさんが参加したアスペルガーの自助グループでも「今度アスペルガーの人と結婚する」という女性もいたそうです。
夫は、前妻さんとの10年の結婚生活時には、自分がアスペルガーであることを知りませんでした。
不仲が続き、家庭内別居状態が続いたとき、「あなたこれなんじゃない!?」と前妻さんにアスペルガーの記事を見せられ、その後、診断を受けて発覚しました。
その時の前妻さんの状態を夫から聞く限り、おそらくカサンドラに近い状態だったのではと思います。
前妻さんは、専業主婦だったと聞いているので、実際に相談する人も少なく、共感も得にくかったのでは?と考えられます。
カサンドラ症候群は、アスペルガー夫との生活の中で
①一緒にいてもひとりに感じる
②周囲から理解されない
という孤独感が原因で陥ります。
また、夫が嫌いだとか、仲が悪いとか、そういう明らかに目に見えるケースとは違い、原因が外から見えにくいことがほとんど。
ツナさんの場合、長い結婚生活の積み重ねの中で「重大な問題を夫婦で話し合うことが不可能だった」ことからカサンドラになってしまいました。
コップの水が徐々にたまって、あふれ出すのと同じ要領です。
自分自身がそうならないためにも、アスペルガーへの理解と「自分はカサンドラになっていないかな?」という客観的な視点を持ち続けることがとても大切だと思いました。
また、カサンドラ症候群は、妻だけでなく、アスペルガーとともに過ごす、家族・友人・職場の人にもあらわれる場合があると報告されています。
ひとりでも多くの人に、アスペルガーとカサンドラの理解が進み、悩み苦しむ人が減ることを願います。
旦那さんはアスペルガー【感想】4年目の自立!?まとめ
いかがでしたか?
第4作目は、別居4年目の家族の変化、妻のツナさんが体験したカサンドラ症候群についてでした。
今回この第4作を読んで、改めて感じたこと。
それは、夫に違和感を感じている方にアスペルガーの事実を知ってもらいたい。
そして、アスペルガーが原因で苦しむ人に、自身のカサンドラに気づいてもらいたい。
その気づきがあって初めて、不調から抜け出せ、人生を再スタート出来るチャンスを手に入れることが出来るからです。
一人でも多くの人に、この本を読んでいただき、明るい未来を手に入れてほしいと願っています。
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