突然ですが、以下あなたに1つでも当てはまるものはありませんか?
〇夫に違和感を感じている
〇夫と心が通っていない気がする
〇夫のアスペルガーが分かった
〇誰にも自分の気持ちを分かってもらえない
〇原因不明の体調不良が続いている
〇カサンドラ症候群って何?
こんにちは!当ブログ管理人のちくわです。
ちく夫です。発達障害(アスペルガー症候群/ADHD)の特性をもっています。よろしくな!
今回は、野波ツナさんのシリーズ第5作【旦那(アキラ)さんはアスペルガー 奥(ツナ)さんはカサンドラ】についての感想を書いていきます。
シリーズ第5作は、アスペルガー旦那をもつ妻が『どういう状態(=カサンドラ)』におちいってしまうのかが、非常に分かりやすく書かれています。
あなたの原因不明の体調不良。
誰にも分かってもらえない孤独感。
原因はカサンドラ症候群かもしれません。
そんな出口のない真っ暗闇をさまよっていたあなたを救ってくれる1冊になることでしょう。
旦那さんはアスペルガー【感想】奥(ツナ)さんはカサンドラ概要
この本の作者は野波ツナさん。
アスペルガー症候群の旦那、アキラさんとのエピソードが書かれています。
ツナさんは、この漫画の作者であり、カサンドラ症候群になってしまった妻本人です。
この【旦那(アキラ)さんはアスペルガーシリーズ】は、必ずしも発行シリーズ順に読まないと、内容が分からない本ではありません。
しかし「もっと詳しくアスペルガーやカサンドラについて理解を深めたい」「アキラさんとツナさんがたどってきた夫婦エピソードが気になる」という方は、シリーズ1~4の順に読んでもらうと、さらに理解が深まります。
第1作【初版】は、旦那のアキラさんが、アスペルガー症候群だと気づくまでの道のりについて。
第2作【ウチのパパってなんかヘン!?】は、旦那のアキラさんがアスペルガーであることを前提に、過去の出来事の振り返り、発覚以降の生活や子ども達からの視点について。
第3作【しあわせのさがし方】は、旦那のアキラさんとの別居を機に、妻のツナさんが改めて考え、理解したこと。そして、別居後の近況報告と家族の幸せのためにたどり着いた『ある答え』について。
第4作【4年目の自立!?】は、別居4年目になる家族の変化について。
そして今回の第5作【奥(ツナ)さんはカサンドラ】はアスペルガーの旦那と過ごす中で、ツナさんがカサンドラ症候群に陥るまでのエピソードとカサンドラから抜け出すまでの道のりについてが書かれています。
よって、今回のシリーズ第5作は、アスペルガーの夫との生活の中で、心身に異変を感じ始めている(=カサンドラにおちいっている)奥様方に、特に読んでほしい作品となっています。
さらに、漫画エッセイだけでなく、国立成育医療センター医長である宮尾益知氏の専門的なコラムが付いていて、カサンドラ症候群についてを客観的に学び知ることが出来るのも、嬉しいポイントです。
旦那さんはアスペルガー【感想】奥(ツナ)さんはカサンドラあらすじ
奥(ツナ)さんがカサンドラになるまで
ふたりが出会った当時、ツナさんは漫画家、アキラさんは担当編集者という関係でした。
お互い仕事が忙しかったふたりは、当初通い婚というカタチで結婚生活がスタートしたが、ツナさんの妊娠・出産をきっかけに生活を共にすることに。
アキラさんは長女が産まれた当初、ミルク・おむつ・おでかけと、子どものお世話をマルチに行う、いいお父さんだった。
ツナさんは子育てを通して、普通に幸せな家庭を築き、アキラさんと一緒に相談しながら、ともに成長していくんだと期待していた。
しかし!
これが勝手な思い込みであることを後に思い知らされることとなる。
長女が4歳の時に、長男が誕生。
アキラさんの仕事は多忙を極め、代わりにツナさんは家事・育児にいそしむという、何となくの夫婦の役割分担が出来ていった。
そんなある日、近所で一戸建ての内覧会をすることを知り、興味本位で見に行ったツナさん。
「お風呂が広くて~間取りも良くて~とっても素敵なお家だったなぁ」と呟くツナさんに対し「いいんじゃないですか?これならローンも払えるでしょう!」と、まさかの即、購入を承諾するアキラさん。
「あなたが気に入ったならそれでいい」と、自分は一切内覧していないにも関わらず、家を購入することが決定。
その後、ツナさんは仕事が忙しいアキラさんに代わって、家の購入手続きを全て一人で実施。
ローン審査、口座開設、書類ハンコ、引っ越し、区役所登録…etc。
「私がやるしかない!だって、家を買うと言い出したのは私なのだから」と奮闘するのです。
最初は「自分の意見を尊重してくれてた」と感じたツナさんだったが、後にそうではなかったことに気づくことになります。
新居での生活が始まると同時に、ツナさんの仕事が増え始め、代わりに忙しかったアキラさんの仕事が激減し、ついにはまさかの無職に。
「家のローンもあるし、私が頑張るしかない!」と歯を食いしばるツナさん。
それに対して、一向に仕事を探す気配のないアキラさん。
見かねたツナさんが、他の仕事を色々勧めても「あの人は嫌い」「今更無理」など、あー言えばこー言う状態で話し合いにならない。
(じゃあどうするつもりなの?)(誰も誘ってくれなかったら、ずっと仕事をしない気なの?)
と、一切話し合いにならないアキラさんに対して、疲れが増し、イライラが募っていくのです。
カサンドラのうずの中
無職になっても、一向に仕事を探す気のないアキラさんに、せめて家のことを分担してもらうことにしたツナさん。
しかし、それによって困った事件が多発してしまいます。
「牛乳と卵を買ってきて」と1万円札を渡すと、お金が無限にあると勘違いし、お刺身やデザートなど、いらないものまで大量に買ってくるアキラさん。
「子どもの寝かしつけをお願い」と頼んでも、「眠くないって言うから」と深夜までテレビゲームをさせてしまうアキラさん。
その他、かけ湯をせずにお風呂を汚したり、トイレを汚すアキラさん。
つなさんが「こうして」「ああして」とお願いするが、アキラさんはいつも気のない返事をするばかり。
この頃のツナさんは、アキラさんの行動が、アスペルガーゆえのいろんなこだわりやマイルールだとは知らず「改善してくれないのは、自分に不満があるから?」と疑問は深まるばかりだった。
無職になったアキラさんは、引き続き一向に仕事を探してくれない。
家計簿を見せて、家の危機的状況を説明しても、黙り込むばかり。
アキラさんの無反応は、経済的な問題以上にツナさんを追い詰め、どんどん混乱を深めていく。
気持ちが夫に伝わらない。
夫の考えが分からない。
よく分からないけど、何かがおかしい。
その違和感がくる心の重さはじわじわと増えるばかりだった。
ある日、ツナさんを絶望させる事件が起こる。
SNSで日記を書くのが楽しみなアキラさん。
しかし、家族のプライベートや顔写真も掲載していたため「ネットにむやみに情報を出さないで」と、ツナさんが削除か修正をお願いした。
それに対して、アキラさんの答えは「コメントがついているからもう削除は出来ない」という、まさかの返答だった。
「妻の嫌がることをするのは悪くないの?」というツナさんに対し、アキラさんはいつもの黙り込み体勢へ。
話し合いになると必ず変身する、無表情で空虚な遠い目をするアキラさん。
ツナさんは、とっさに家から出ていき、カフェでコーヒーを飲みながら、持っていた紙にアキラさんの悪口をぎっしり書いた。
そして、全てをビリビリにやぶいた時、アキラさんは、パートナーとしての信頼や期待を一切なくしてしまったのだった。
その日から、アキラさんと話し合うことをあきらめたツナさん。
もう二度とあの空虚な目を見ることに嫌気が差し、アキラさんと目を合わせなくなった。
そしてある日、ツナさんは故障することになる。
仕事中に突然、頭も体も停止。
情緒不安定になり、意味もなく泣いたり、意味もなくキレることも。
時間の感覚もおかしくなった。
仕事もままならなくなり、ますます家庭の収入は減少。
人と会話すること、視線が怖くなり、まともに眠れなくなった。
そして、ついには死を意識するようになっていったのである。
深まるカサンドラ
ツナさんも超大ピンチに陥る中、アキラさんの再就職が決定。
ツナさんは一度は安堵するものの、まさかの1年足らずで辞職。
さらには、アキラさんに借金があることを打ち明けられる。
しかし、アキラさんの口から出てくる言葉は、全てが状況説明だけで、今後の計画も、詫びる言葉も一切なかった。
ツナさんは、アキラさんのことが何一つ理解出来なくなり、ついにはアキラさんそのものに疑問を持つようになってしまう。
その後、アキラさんがアスペルガー症候群が判明。
ツナさんは、今までの疑問が解け、安心したと同時に、絶望感を感じる。
なぜなら、分かり合えないのは脳機能の問題であり、それによって困り感のないアキラさんには、自分を変える気が一切なかったから。
そこからツナさんは、アキラさんへの接し方を変えるよう試みます。
否定してはいけない。
感情的に話してはいけない。
言葉ではっきり伝えないといけない。
声のトーンや表情を一定にし「○○してはいけない」と、感情を押し殺すことが必要な場面が多く、我慢することが日常になった。
また大人の発達障害についての本を読んでも
サポートしてあげましょう。
理解してあげましょう。
寄り添ってあげましょう。
と、ツナさんが「やらないといけない」ことばかり。
誰が自分を理解してくれるの?
誰が私の気持ちに寄り添ってくれるの?
脳の特性であるがゆえに、アキラさんが悪いわけでは無いからこそ、この辛い気持ちを誰にも話すことが出来ず、ツナさんの孤独感は深まるばかりだった。
カサンドラを抜ける方法
家計がひっ迫したことにより、家の売却を余儀なくされてしまったアキラさん一家。
ツナさんは、重大なことだからこそ、アキラさんと相談して決めたかった。
しかし、アキラさんからは「仕方ないですね」の言葉しかなかった。
あの時、家の購入を即決したのも、全てが他人事だったがゆえの反応だったことに絶望する。
家の売却と同時に、アキラさんは独り暮らし・ツナさんと子ども達はツナさんの実家にお世話になることになった。
別居が始まってすぐは、引っ越しの荷解きや、子どもの入学式にと忙しい毎日。
しかし、日が過ぎるごとに、忙しさとは逆に、ツナさんの心が元気になっていきます。
アキラさんと離れることで「自分は本当にアキラさんとの生活に疲れていたのだ」と気づけたのです。
また、この頃カサンドラ症候群という言葉を知り、自分の状態に名前が付いていることを知ったツナさん。
それを機に、カサンドラの人同士でおしゃべりをする会にも積極的に参加。
すると「私一人じゃないんだ」と安心することが出来、共感してくれる人に思いを話すことで、溜まっていた気持ちが軽くなるのを感じた。
つまり、共感を得ることで孤独感を解消し、カサンドラを脱出する第一歩を踏み出したのです。
しかし、ツナさんのカサンドラが完璧に治るには至らなかった。
「私はアキラさんから逃げた」「子どもから父親を離した」「それなのに幸せを感じる資格はあるのか」
という罪悪感が、ツナさんをカサンドラにとどまらせていたのである。
しかしある日、ツナさんはカサンドラから脱出する糸口を見つけることとなる。
それは、カサンドラ経験のある女性からインタビューを受けた日のこと。
インタビューのお題は「旦那さんのどういうところを好きになって結婚に至ったのか」というもの。
インタビューをしてくれた人が、自分の気持ちに共感してくれる人だったこともあり、ツナさんは20年前にアキラさんのことを好きになった気持ちを思い出すことが出来た。
夜中じゅう、ずっと本や漫画の話をしたこと。
お酒を飲みながら「私はずっと幸せそうなあなたを見ていたい」と言ったアキラさんにドキドキした胸の高鳴り。
ツナさんは、ちょっと変わってるけど、まっすぐなアキラさんのことが好きで結婚した当時の幸せな気持ちを思い出したのです。
アキラさんと離れただけでは終わらなかった、ツナさんのカサンドラ症候群。
最終的には、アキラさんへの昔の気持ちを思い出したことで、カサンドラから脱出出来たという結末で物語は結びとなっています。
旦那さんはアスペルガー【感想】奥(ツナ)さんはカサンドラを読んで
カサンドラの定義とは
カサンドラの正式名称は「カサンドラ情動剥奪(じょうどうはくだつ)障害」
英語表記にすると「Cassandra Affective Disorder」
カサンドラとは、ギリシャ神話に登場する太陽神アポロンの妻の名前です。
彼女には、予言をする能力があったのですが、誰にもその予言を信じてもらえない呪いを、アポロンにかけられてしまいます。
言うことを信じてもらえないという、カサンドラの状態が、対外的には問題があるように見えない夫の不満を言う妻のようだと、その名前がつけられました。
注目すべきは、アスペルガーの特徴の1つである共感性の欠如が、パートナーの精神と身体に影響を及ぼし、カサンドラに陥ることが分かっています。
カサンドラの主な症状⇩
●怒り、不安の感情
●抑うつ状態
●自己評価の極端な低下
●不眠症
●偏頭痛
カサンドラからの回復法
今回のシリーズ第5作では、ツナさんがカサンドラにおちいるまでと抜け出すまでのエピソードが書かれていました。
その中で、妻のツナさんが、カサンドラから回復するまでにたどったステップを以下にまとめておきます。
今、カサンドラから抜け出したいと思っている方のヒントになれば幸いです。
①夫の違和感に気づくこと
「夫ってそんなものよ」という周りの言葉にとらわれず、夫と自分との間に起きている問題が、特殊なことだと気づく。
②アスペルガーについての理解を深める
アスペルガーについて学び、具体策を考えて、実行する。
③共感してくれる人とつながる
アスペルガー夫に対する自分の体験に対して、共感をもってくれる人たちと話し、孤独に陥らないようにする。
④自分の体調不良を自覚する
行きつけの病院等に相談し、自身の異常を自覚して、体調を取り戻すことを第一に考える。
⑤アスペルガーを受容する
夫に自分の気持ちを理解してもらえないと同時に、自分も夫の気持ちを理解してあげれていないことを認識する。
⑥自分の心に耳を傾ける
夫に望むことではなく「イライラしないで暮らしたい」「子どもときちんと向き合いたい」など、自分自身が望むことを考え、実行する。
⑦夫と自分の関係を許す
付き合った当時や、結婚当初のドキドキ感、夫の良い所を思い出すことで、夫と結婚したことを肯定する。
⑧自分の考えを変える
普通の家庭こそが、幸せだという考えに、とらわれ過ぎていた自分に気づき、自分の中の常識や理想を見直し、被害者意識を手放す。
⑨自分を許す
アスペルガーの夫に対する、今までの自分の行動を許し、加害者意識を手放す。
⑩カサンドラの病を知る
アスペルガーの特徴に影響を受けて、関係性が上手くいかない場合にカサンドラが生まれる。
よって、アスペルガー自体が悪い訳ではなく、どこにも犯人はいないことを理解する。
旦那さんはアスペルガー【感想】奥(ツナ)さんはカサンドラまとめ
いかがでしたか?第5作目は、妻のツナさんが、カサンドラに陥るまでのエピソードとカサンドラから抜け出すまでの道のりが詳しく描かれていました。
この本を読んで改めて夫に違和感を感じている方に、アスペルガー症候群の事実に気づいてもらいたい。
そして、アスペルガーが原因で苦しむ妻達に、自身のカサンドラに気づいてもらいたいと感じました。
なぜなら、作者のツナさんもそうであったように、まずは気づかなければ不調から抜け出すことも、人生を再スタート出来るチャンスも手に入れることが出来ないからです。
カサンドラの妻達へ。
自分自身を救えるのは、あなただけです。
一度きりの人生。
一人でも多くの人に、明るい未来を手に入れてほしいと願っています。
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