どうやら夫はアスペルガー症候群のようです。
心が通じ合わず、辛いです。
体調が優れない日が続いており、自分はカサンドラ症候群なのでは?と疑っています。
毎日「夫と別れた方がいいのかも?」と考えますが、どうにか上手くやっていけないかという気持ちもあります。
そんな時に「夫がアスペルガーと思ったとき妻が読む本 誰にもわかってもらえないカサンドラ症候群から抜け出す方法」という本を見つけました。
この本がどんな内容なのか知りたいです。
私は、実際にアスペルガータイプの夫と結婚した妻です。
これまで発達障害に関する書籍をたくさん読んできました。
今回は実際にアスペルガーの夫をパートナーにもつ私が、この本の概要や感想を書いていきます。
この本は、アスペルガーの夫をパートナーにもつ妻に向けて、語りかけてくれる本です。
読み終えると不思議と気持ちが軽くなります。
なぜなら、この本はアスペルガーの夫と暮らし続けたことによって、心が傷ついたカサンドラ状態の人に、優しく寄り添い、細やかに共感してくれる本だからです。
また、カサンドラ症候群について詳しく知ることで、自分自身の状態を客観的に見つめなおすことが出来ます。
そうすることで、サブタイトルの通り「誰にもわかってもらえないカサンドラ症候群」
から抜け出す方法を見つけることができるのです。
今、この記事を読んでいる方の中には「アスペルガーの夫と離婚するのか」それとも「この先の人生を共に生きるのか」迷っている方も多いのではないでしょうか?
もし、迷っているのなら、この本を読み終えてからでも遅くないです。
今の現状から一歩前進するきっかけを、ご自身の手で掴みとってください。
夫がアスペルガーと思ったとき妻が読む本 誰にもわかってもらえないカサンドラ症候群から抜け出す方法【概要】
著者のプロフィール
宮尾益知
医療研究センターこころの診療部発達心理科を経て、現在はどんぐり発達クリニックを開院。
発達障害に関する著書を30冊以上出版している。
発達障害の本を手に取ると、高確率で宮尾氏の本であることが多い。
滝口のぞみ
臨床心理士でもあり、特別支援教育士でもある。
専門は夫婦関係および発達障害。
現在はおもに発達障害のこどもを持つ保護者、および発達障害のパートナーをもつ人を対象としたカウセリングを行っている。
この本は、上記ふたりの共同作品となっています。
ただ今回は「カサンドラ症候群の妻」へ向けた本なので、メインは女性である、滝口のぞみ氏の語りがメインとなっています。
カウンセラーである滝口氏の語りは、読むほどに実際にカウンセリングを受けている気持ちになり、安心感を覚えてしまいます。
そして、専門的な見解を宮尾氏がフォローするという構成です。
このふたりのタッグは、今回が初めてではなく、シリーズ化され注目を浴びた、旦那(アキラ)さんはアスペルガーの中でも、妻のカサンドラがメイン内容である「旦那(アキラ)さんはアスペルガー 奥(ツナ)さんはカサンドラ」は、このタッグで監修されています。
ちなみに今回紹介の「夫がアスペルガーと思ったとき妻が読む本」は約200Pのオール活字です。
私は1日30分ずつ読み進め、約1週間で読み終えました。
とても読みやすいので、本が苦手という方でも抵抗はない量です。
書籍の目次
プロローグ
ここでは、本の出版理由が書かれています。
宮尾氏と滝口氏が現場で体感した夫婦関係の深刻さ。
そして、誰にも気持ちを理解してもらえない妻の孤独や悩み。
その全てが、非常に壮絶で複雑。
しかし同時に、どんな深刻なカップルも希望を見出すことは不可能ではなく、夫との間に解決策を見出したカップルが実際にたくさんいることが、この本を書くきっかけになったと綴られています。
第1章 大人の神経発達の問題が注目されている
発達障害について、世間で認識されはじめたのは、ここ10年、20年。
今では、発達に偏りがある子ども達やその保護者へのサポートも充実してきています。
しかし、成人になるまで特性の問題が見過ごされ、就職先での対人関係のトラブルがきっかけで、初めて自身が発達障害だと分かる大人が近年増えているのです。
その中でも、普段は特に問題なく社会に適応してきたけれど、実はコミュニケーションや対人関係が苦手だったアスペルガーさんが、家庭をもった時に、本人以上にパートナーが苦悩するといったケース。
これこそが、カサンドラ症候群の実態なのです。
第2章 カサンドラが結婚を決意するとき
カサンドラは孤独です。
なぜなら、カサンドラの苦悩や夫の愚痴を他人に言ったとしても
「どうして結婚したの?」「結婚する前に夫のことが分からないものなの?」
と、周囲の人からの理解を得ることが出来ないからです。
だからこそ、カサンドラ妻は「私が夫を選んだのだから」と言い聞かせ、何とかやっていこうと努力をし続けます。
そして、結果、心が傷つき疲弊しきってしまうのです。
ただ、カサンドラ妻には、アスペルガー夫との間に必ず「この人と結婚したい」「この人なら一生とともにしても大丈夫」というエピソードをもっています。
アスペルガーの男性は、自分の味方だと思った人に対して、優しく情熱的に接する傾向にあります。
つまり、カサンドラ妻は、結婚前は、現在とはまったく反対の接し方をされており、気づくことなど不可能に近いのです。
第3章 カサンドラの傷つき
ここでは、妊娠と出産の時に、妻達が深い傷つきを経験するエピソードが書かれています。
特に初めての妊娠・出産は、夫に対して支えてほしい気持ちが強くなります。
しかしアスペルガーには、想像することが苦手、共感することが苦手という特徴があります。
例えば、つわりで苦しいという妻に「苦しいならおろしていいよ」と平気で言う。
妻のお産中に、落語を見に行くなど、常識では考えられない行動に出ます。
しかし、アスペルガー夫には悪気はありません。
苦しい妻を守りたい気持ちから「おろしていいよ」と配慮をした!
お産中は自分に出来ることなんてないのだから、その間有意義に時間を使った方がいいと、落語を見に行った!
ただ、それだけなのです。
ただし、夫がアスペルガーだと分からない妻にとっては、その言動・行動が不可解過ぎて、心に深い傷を負ってしまうのです。
第4章 子どもが生まれて変化するアスペルガー夫との生活
子どもが生まれた後、カサンドラ妻がアスペルガー夫に対する悩みのテーマは2つ。
1つは人生のパートナーとして。
アスペルガーには、マイルールや強いこだわりを持っている人が多いです。
よって、アスペルガーの中には、子どもはいらない、自分だけを愛してくれればいいという強い結婚観を持っている人がいます。
しかし、付き合っている女性たちは、まさか本気で言っているとは思いません。
本気だとしても、実際に子どもを持てば、変わるだろうと期待します。
ただ、アスペルガー夫は変わることはありません。
それゆえ、子どものことでトラブルが起こったとしても、どこか他人事で「自分は子どもがいらなかった」と、無責任な言動を繰り返すのです。
もう1つは父親としての問題。
アスペルガーの人は、態度で想像することが苦手なので、赤ちゃんのサインにも気づきにくく、育児には不向きです。
出産時から夫に不信感を抱いている妻は、さらに絶望し、子育てを夫に任せられないことからどんどん孤立していきます。
さらに、アスペルガーの人は、自分・妻・子どもという三者関係が苦手です。
つまり「夫らしさ」「父親らしさ」の両面を求められても分からないのです。
ついには、子どもを邪魔モノと判断し、攻撃的になったり、妻にべったり甘えることで自分を守ろうとするアスペルガーもいます。
第5章 子どもの学童期の困りごと
アスペルガーの人は、基本子どもに対して「好かれたい」という感情をもっています。
よって、赤ん坊の頃は、ミルクをあげたり、オムツを変えたり、よくお世話をしたというエピソードも多く報告されています。
しかし、小さい頃は甘やかすだけで良くても、成長に合わせて教育やしつけも必要になってきます。
本来であれば、妻と相談しながら教育方針を決めていくところですが、他人に決められたルールに従うことはありません。
また子どもの発達段階がイメージし辛いことから、幼い子どもの体力を考えず、サイクリングに付き合わせてしまったり、ねだられるままに悲惨な戦争の写真が掲載された本を買い与えたりしてしまいます。
第6章 お金に関する葛藤
アスペルガーの人は、お金を分かち合うことが苦手です。
自分が稼いできたお金を、妻に分け与えることに、意味を見出せない人もいます。
なぜなら、妻が専業主婦だった場合、ただ家で何もせずに怠けている人だと捉えてしまうからです。
それは、妻が家でやってくれている、子育てをはじめ、家事、親族間の柔軟な配慮等がアスペルガーの夫には分からないからです。
そういったアスペルガー夫には、家族=チームという視点を伝え続けなければなりません。
アスペルガーの人は、自身が納得しないと絶対に動きませんので、その伝え方が非常に重要になってきます。
第7章 カサンドラから抜け出すために
ラストの章に、実際にカサンドラから抜け出すヒントが書かれています。
正直、ここまで読めば、かなりカウセリングが終了しているので、心が軽くなっているのを感じられるはずです。
まずは、夫とともにいることだけが選択肢ではないことを知ること。
その上で、自分が悪いのではないことを深く理解することが大切です。
また、カサンドラを抜け出す最も大きな近道は、共感です。
共感してもらう環境をどのように作るのかを考えることが必須です。
また、困惑しているのはカサンドラの妻だけではなく、アスペルガーの夫もそうだという視点を持つこと。
夫自身も、気持ちや考えが妻に伝わらず、辛くもどかしい思いをしていることを知ることが、冷静な自分を取り戻すきっかけになるのです。
夫がアスペルガーと思ったとき妻が読む本 誰にもわかってもらえないカサンドラ症候群から抜け出す方法【印象的な内容】
この本を読み終えて、私が印象的だったところを抜粋します!
アスペルガーを結婚相手に選ぶ人の特徴
カサンドラ妻は、明るい性格で、コミュニケーション能力に長けており、社交的な女性が多いことが統計的に知られています。
なぜなら、アスペルガーの人は対人関係が苦手で、コミュニケーションに偏りがあるため、自分にはない包容力のある女性に安心感を覚えるためです。
また、アスペルガー男性は、社交辞令が苦手なため、愛情表現がストレートです。
そこから、今まで経験したことのない、まっすぐな愛の表現に、心を揺れ動かされます。
そして、この人とともに生きていきたいと確信をするのです。
私も接客業をしているから、コミュニケーションはある程度できるし、社交的で視野は広い方かも。
夫は付き合っている時から、情熱的で、何事も正直に気持ちを伝えてくれました。
よくよく考えると、そんな正直なところに惹かれて結婚しました。
まぁ正直すぎて、そこが喧嘩にもなるんですけどね。
子どもが生まれて変化するアスペルガー夫との生活
アスペルガー夫と上手くいかない夫婦の大半は、子どもが生まれてからと報告されています。
個人的には、ここが1番問題かと感じました。
私の夫はバツイチで、前妻さんとの間に娘がふたりいます。
前妻さんは専業主婦だったのもあり「子育てはお前の仕事だ」と、以前は家のことに全く関与してこなかったと、夫は言っていました。
これは推測ですが、よくよく夫の話を聞いていると、前妻さんはカサンドラ状態に陥っていました。
まさに、この本のストーリーに多く当てはまるのです。
夫自身も反省しており、この失敗を活かしたいと言っています。
よって、私たちは夫婦で話し合い、私自身も仕事をしながら、夫にも家のことを担当してもらうこと。
そして財布はある程度別にして、ゆるくワクを作って生活することに決めました。
前の結婚生活では、稼いだお金を全て前妻に預けていたので、かなり窮屈な思いをした。
その分、喧嘩も多かったし、自分は稼いでいるのだからと家事・育児はほどんどしなかったのが反省。
今回は、自身の特性を妻に把握してもらいつつ、出来る限り子育てにも参加したいと考えています。
カサンドラにならないために
この本は、アスペルガーの夫をもち、すでにカサンドラになった妻に向けた本だと思っていました。
私自身は、結婚する前に、夫がアスペルガーだということを知っていたので、気をつけながら過ごしてきたのもあり、おそらくカサンドラではありません。
しかし、とても共感できる部分が多く、夫の特性を改めて整理でき、とても有益な本でした。
よって、夫がアスペルガーかもしれないと疑いのある方にも適している本かと思います。
また、カサンドラにならないよう、自分自身を冷静に見つめるためにも良い本だと感じました。
この本を読むことで、アスペルガー側の夫の気持ちも理解出来ます。
また滝口先生の語り口調がとても優しく、気持ちがかなり楽になるのを感じられました。
まとめ
いかがでしたか?
この本は、アスペルガーの夫をもつ妻達に寄り添い、自然とカウセリングを行ってくれる本です。
カサンドラから抜け出すには、まずアスペルガー・カサンドラを客観的にとらえることが大切です。
それができた地点で、あなたはすでにカサンドラから脱出する第一歩を踏み出していることに気づきます。
夫を許し、自分を許し、新しい家族の未来を考えること。
そして、どこにも悪者はいないことを深く理解すること。
そこまでできれば、あなたは必ずカサンドラから抜け出すことが出来ると私は信じています。
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